若い内に結婚した方がカッコ良い男になれる?既婚者に聞く、その理由と早婚のススメ

年々遅くなっていると言われている日本人の平均初婚年齢
昨年、2017年の日本人男性の平均初婚年齢は、31.1歳というデータが出ています。(※厚生労働省人口動態統計/2018年6月発表より)
世間的にも
「20代で結婚はまだ早い」
「経済的に余裕ができてから結婚した方が良い」
「若い内はやりたいことに全力を注いだ方が良い」

という風潮が少なからず感じられる昨今。
では、20代で結婚することのメリットはないのでしょうか。また、本当に結婚は30歳を超えてからで良いのでしょうか。
今回は、大学卒業後すぐに結婚したという早婚推奨派の高橋さん(仮名)自身が早婚に踏み切った理由や、早婚のメリット・デメリットをお伺いしました。

どうして早くに結婚したの?人生のどん底から、新婚生活をスタート!?


韓国生まれ、韓国育ちだという高橋さん。
大学時代に海外へ語学留学をした際に、同じく語学留学で来ていた日本人の女性と知り合い恋に落ちます。
その後、大学を卒業してすぐに結婚。奥さんが韓国に来て、新婚生活を始めることになります。
ーまだ若く、これから先やりたいことや出会いの機会も多かったと思うのですが、どうしてすぐに結婚しようと思ったのですか?
「留学後、お互い母国に帰って生活しており、1年半の間遠距離恋愛をしていたのですが、これ以上続けていても別れてしまうと思ったんです。
また、就職も決まっていたので、これから経済的にも余裕が出る予定でしたし、何より好きだったので、早く一緒に住みたいという想いが強くありました。」
ーもう少し遊びたいとか、縛られたくないという気持ちはなかったのですか?
「全くなかった訳ではありませんが、その時はあまり深く考えていなかったのが正直なところですね。
また、学生時代に割と色々な女性とお付き合いをさせていただく機会があり、これから先新しい女性と出会って付き合うことへ期待感があまりありませんでした。
それよりも、遠距離だった分一緒にいられるということへの喜びの方が大きかったですね。」
ーでは、高橋さんが大学を卒業するタイミングで彼女(現奥さん)が韓国に来て、新婚生活を始めたのですね。
「その予定だったのですが、実はそう上手くいかず…。
家内(当時は彼女)のご両親に結婚の挨拶をするために日本へ行き、了承を得て帰国した途端、空港にいる私に父親から電話がかかってきて…。
“とにかく早く家に帰ってこい”と。」
ー…え?
「私の父親は韓国で会社を経営していたのですが、色々あって突然会社が倒産することになったらしく…。
事態がよく分からないまま、急いで家に帰ると家族が全員揃っていて、父親がひとりひとりに空っぽの鞄を渡して言うんです。
“今からこの鞄に必要な物を詰めて家を出なさい。私は明日からはどこにいるか分からない。連絡もつかなくなる”と。」
ーええええ?会社が倒産する予兆はあったのですか?
「全くありませんでした。むしろ、今まで社長の息子として韓国でも豊かな生活を送って来たので全く自体が飲み込めず…。
とりあえず言われるがまま必要最低限の荷物をまとめ、生まれた頃から住んでいた家を出て、すでに結婚していた姉の家に居候をすることにしました。そのまま、社会人生活がスタートしたんです。」

ー「就職が決まって一安心。これから結婚して幸せな人生を送るぞ。」という時に、まさに青天の霹靂ですね。
「そうなんです。全てが上手くいっていると思っていた人生が、たった1日で180度変わりました
次の日から、親戚や父の会社の人たちが私を訪れて責めるようになったんです。
当時の私は新入社員だったので、一生懸命働かなければいけませんでした。韓国は上下関係がとても厳しいので、新入社員がイジメられることは珍しくありません。とにかく毎日必死でした。
ヘロヘロになりながら休み時間に会社の外に出ると、父の会社関係の人が待っていて“父親はどこだ”と言うんです。」
ーそれは…本当に安らぎのない…辛い状況ですね。
「家族も仕事もお金も、全て上手くいかなくて、これは結婚どころではないと思いました。
そこで、日本にいる家内に電話をして“本当に申し訳ないのだけど、今の大変な状況で韓国に呼ぶことが良い判断だと思いません。結婚の話はなかったことにしましょう”と伝えたんです。」
ーでは、結婚を取りやめに?
「その時はそうなりました。
でも、その一ヶ月後くらいに義理父から電話がきて、こう言われたんです。
“本当は、結婚というものはお互いに余裕があったり、幸せであったり、豊かに過ごせる希望がある時にする方が良いとは思う。
でも、人生には良いときがあれば、悪いときもある。突然、状況が悪くなったとしても2人で力を合わせて大変な状況を乗り越えてほしい。
…娘を韓国に送ります。”

と。もともと、家内のお義父さんのことは、人としてとても尊敬していたのですが、この時は本当に胸が熱くなりました。」
ーその後、韓国での新婚生活は上手くいったのでしょうか?
「家内が嫁いで来て、1年くらいは一緒に頑張っていたのですが、周りの状況は一向に良くなりません。
0から生活をスタートするのではなく、もはやマイナスを一生懸命0に近づけるような日々でした。
これでは数年かかって、やっと0にできるかどうか。だったらいっそのこと、0の環境に行った方が良いんじゃないか。そう考えて、1年経った頃に2人で日本で生活をすることにしました。」

結婚をしたから成長できた…早婚をして感じるメリットとは


人生で今までにないどん底に落とされた時に、結婚という選択をした高橋さん。その後の人生はどうなったのでしょうか。
また、早くに結婚をしたことで、メリットはあったのでしょうか。
「日本に移住してからは、都内の会社で働きました。
日本語が分からない・お金もない・友達も一人もいない中、奇跡的にやっと掴めた仕事でした。」
ー大変な状況の中結婚をして、良かったと感じることはありますか?
「結婚したばかりの頃は、悪いことが重なって割と精神がブレてしまっていました。
今まで真面目に勉強をしてきて、韓国でもきちんとした企業に勤めていて、能力がないわけではないのに、日本に来た途端、言葉が通じなくて、仕事すらなかなか見つけられない…。
でも、そんな時に家内が“仕事がないからといってあなたに価値がないわけではない”と支えてくれたんです。」
ー素晴らしい方ですね。
「逆に、その後仕事が上手くいき出した時は、“あんまり人に威張ったり、出しゃばったりしないでね”と、調子に乗らないようにストッパーのような役割をしてくれました。
環境によって浮き沈みが激しい私に対して、家内はいつも一定というか…重りのような存在なんです。
自分のことをきちんと見てくれて、支えてくれて、時にはリードしてくれる…私を育ててくれる人ですね。
一般的に、女性の方が精神的に大人だと言われていますが、本当にそう感じることが多々ありました。」
ー男性は、奥さんによって成長すると思いますか?
「よく“素敵な男性は、もうみんな恋人がいたり既婚者だったりする”と言う女性がいますね。
もちろん、元々素敵な男性もいるとは思いますが、大半は恋人や奥さんに育ててもらったんだと思います。
信じる信じないはどちらでも良いのですが、聖書の“創世記2・18”にはこんな話があります。
神様は一番最初の人類として、アダムという男を創りました。アダムがいつも1人でいるのを見ていたら“人が1人でいるのは良くない。彼にふさわしい救い手を創ろう”と思うようになります。
そこで、アダムの骨をひとつとって、エバという女を創ったんです。」
ーつまり、聖書からしても、“男は1人では完璧ではない。女という救い手が必要だ”という考え方があるわけですね。
「ここでいう救い手というのは、秘書やアシスタントではなく、ヘルパー(助ける人)という意味です。
助ける人は、助けられる人よりも能力が高くないと、助けられません。
だからこそ、女性には敬意を払いたいし、2人が助けあった時に、人は初めて完全な存在になれるのだと思います。」
ーだから、既婚男性が完璧な人に見えたり、とても大人に見えたりするのかもしれませんね。

「あと、若いうちに結婚するメリットのひとつとして、“欲望の節制ができる”というのもあると思います。
男性の脳内って、放っておくとほとんど性欲で埋め尽くされてしまうじゃないですか。でも、若い頃にそれが満たされると、その後理性的な人になれるのではないかと。
例えばなんですが、私はとても大切な人と食事の約束がある時は、先に少し食べてから行くんです。
空腹の状態で行くと、その人と会っている時に食べることに夢中になってしまうから。
少しだけお腹を満たしてから行くと、ゆっくりと食事を摂る余裕ができるし、その人と会うこと・話すことに集中することができます。」
ーそれが性欲にも応用できると?
「はい。
例えば、綺麗で魅力的な女性に出会った時に、自分の性的欲求が強すぎたら、その人を口説きたくなると思います。」
ー側から見ると、“がっついている人”という印象を受けますね。
「しかし、自分の性的欲求がある程度満たされていたら、綺麗な女性と出会っても、その人の美しさに気を取られないようになります。
早めに自分の性欲を健全な形でコントロールできるようになると、自分の夢とか、社会生活に専念できるようになるんですよ。」
ー「余裕のある男性」になれるわけですね。
「最後にもうひとつ、早婚をすると、“早くから責任感を持つことができる”というメリットがあると思います。
家族を持つことで生まれる責任感。これって、仕事でも活きると思うんですよね。」
ー反対に、“早く結婚すると自分の夢を諦めないといけない”と考える人がいますが、それについてはどう思いますか?
「確かに、自分の時間を100%夢に注げる人と比べると遠回りになるかもしれませんが、諦める必要はないし、良い家庭を築くために求められる能力と、夢を叶えるための能力って、近いと思うんです。
同じ筋肉を使うというか。
他人のために自分の欲望を下げたり、忍耐力を養ったり、何かのために熱心に取り組む能力って、夢を叶える時にも必要じゃないですか。
家庭に対する責任感を持てる人が、会社や仕事に対して責任感をもてないわけがありません。」
ー仕事がすごくできて、家族もきちんと大切にしてる男性…確かにいますね。
そしてそういう人って、すごくカッコ良いですよね。

「あと、家内だけじゃなくて、子供たちから学ぶこともすごく多いですよ。
自分より子供の方が成長していることって、珍しくありません。
早くから子供を持つと、一緒に成長していく楽しさも長く味わうことができますね。」

時には別れを考えることも…?早婚のデメリット


何があっても自分を導いてくれる一方で、何があっても守るべき存在である家庭。
それを持つことでたくさんのメリットを感じるという高橋さんですが、早婚をしたことによるデメリットはないのでしょうか。
“若い内に結婚をする”ということは、“お互いの方向性が定まっていない時に結婚をする”ということなので、ぶつかることはたくさんありました。
例えば、私は日本だったら都会に住みたいんです。
都会だったら、語学も活かしやすいし、外国人だって珍しくない。都内にいた時も韓国人コミュニティに入ることができたし、翻訳の仕事のスキルを積むこともできました。
でも、家内は都会の生活が合わず、実家がある田舎に戻りたいと言い出したんです。」
ー若いからこそ、途中でそれぞれの望む人生が変化するのは仕方がないことですね。
しかし、同時に両方叶えることができない今回のケース…どういう選択をしたのでしょうか?

「2人で一緒にいるためには、結局どちらかが譲らなくてはいけません。
どちらに合わせるかと言うと、適応能力が低い方に合わせることになるんです。
家内は本当に都会が嫌いで合わないと言うので、田舎に引っ越すことになりました。」
ー高橋さんにとっては、辛い選択だったのではないでしょうか?
「せっかく日本に友達ができて、安定した仕事も手に入れて、経済的余裕もできた頃だったので、再び知り合いのいない土地に引っ越すのは、辛いものがありました。
さらに、田舎だと“外国人”ということでより特殊な扱いを受けたり、語学を活かせるような仕事がなかったり…。
田舎に引っ越してから、東京時代の人脈やスキルを活かしてPCで翻訳の仕事をしていた時に、近所の人に“PCなんかで遊んでいないで、物を運ぶの手伝って”と言われたこともありました。
国としての文化の違いと、ジェネレーションギャップ、都会と田舎のギャップが合わさって、再び辛い時期が続きました…。」
ーそれだけ大変な思いを何度もされて、“別れよう”と考えることはなかったんですか?
“別れた方が良いのかな”と考えることはもちろんあったし、“離婚”という選択が悪だとも思いません。
お互いの人生を考えた時に、一緒にいない方が良い場合もあると思うので。
でも、家内は“何があってもそばにいる”という信念を持っていたので、私たちの間に“別れ”という選択肢はありませんでした。」
ー高橋さんは、それで良かったのでしょうか?
“もう無理かも”と思う度に冷静にその原因を考えると、外的要因ばかりだったんですよね。
文化が違うとか、環境が合わないとか。
“家内と2人で暮らす”ということ自体には、なんの問題もなかったんです。
2人が本当に嫌いになって別れるのであれば仕方ないけれど、外的要因で別れたら後悔するのではないかと思いました。
“じゃあもう少しだけ頑張ってみよう”というのを何度も繰り返し、ここまできましたね。」

ー“他にもっと良い人がいるかも”という気持ちになったことは…?
「ないと言ったら嘘になります。
“遊びたい”と思うこともあるし、実際に遊んでしまったこともあるし。
魅力的に見える人や、“この人と一緒にいると、もっと、人生がうまくいくかも”と感じる人に出会うこともあります。
でも、家内と結婚することがベストだったかどうか…それは一生をかけないと分からないことだと思うし、お互いが数え切れないほど妥協したり、譲り合ったりすることで、世界で唯一の、アダムとエバのような関係になっていくんだと思います。」
ー数え切れないほどの妥協や譲り合いを繰り返すことで見えてきた、夫婦円満の秘訣はありますか?
「最初の頃は、“2人で同じ道を歩まなければいけない”と思い込んでいました。
だから、お互い妥協しなければならないことが多すぎたし、干渉せざるを得ない部分も多かったです。
でも、家内の地元に移住してから、家内は家内で“自分がやりたいこと”をやって、輝き始めたんです。すごく稼ぐ訳ではないないのですが、自分の100%を発揮し始めたというか。」
ー奥さまは、自分の道を歩み始めたということですね。
「良い意味で家内が私のことを見なくなったので、私も私がやりたいことに時間を使いやすくなりました。今では田舎でも自分の力を活かせるコミュニティを見つけることができて、私自身も輝ける場所を手に入れています。
“2人で同じ道を歩む”ことではなく“それぞれが進みたい道を手助けし合うこと”を大切にするようになってから、夫婦としての幸福度が高まりました。
依存し合うのではなくて、お互いがお互いの夢を理解して、尊重し合える関係が理想なのではないかと思います。」

“結婚はまだ早い”と思う人こそ、“早く結婚して成長する”という選択肢を考えてみて欲しい

順風満帆な人生から、一夜にして今までに味わったことのないどん底を経験してしまった高橋さん。
そんなどん底の状況からスタートした結婚生活は、良いことばかりではありませんでした。
しかし、人を思いやる優しさ・責任感・誠実さを持つ現在の高橋さんがいるのは、奥さんの存在があったから。
全ての経験をひっくるめて高橋さんは、“男は奥さんに育っててもらって、初めて本当の大人の男になれる”と言います。
「まだまだやりたいことがあるから」
「経済的に安定していないから」

という理由で結婚はまだ良いと考えている方は、“今の自分が完璧じゃないからこそ、結婚をする”という選択肢もあるということを、覚えておいておきましょう。
自分がまだまだ未熟だからこそ、結婚をすることで成長できる部分も大いにあるかもしれません。