こんにちは。浜松一郎です。
新生活や、人生の節目で必ずと言っていいほど行う、「引っ越し」。その中で、なかなかお目当ての物件を見つけられなかったり、満足行かないまま契約してしまったりしたことがある方も多いことでしょう。
ということで今回は、不動産業界で10年働く敏腕営業マンに、マンション選びのコツから事故物件のことまで根掘り葉掘り聞いて参りました。
引っ越しを検討している方も、まだまだこれからの方もぜひ参考にしてみてくださいませ!
インタビューした人
不動産営業歴10年目。
賃貸だけで年間売上2000万円。(1500万円できたらすごい) 著名人の顧客も多数。
色々話してもらったので名前は非公開です!
どんな部屋がオススメなの?不動産屋が住むならどんな家?
― 早速ですが、いい部屋ってどんな部屋ですか?
「これはめっちゃ難しい質問ですね…!細かいところは人によるとしか言えないのですが、基本的なことから言うと『南向き』『水周りがきれい』『アウトフレーム』ですかね」
― ふむふむ。。
「南向きは一日中、陽が入るから1位です。次点で南東。あと、東向きもいいですね。水周りに関しては、男性はあまり気にならないかもしれませんが、女性は予想以上に気にします。僕のお客様の女性の方は、いい家でも水周りが原因でNGということがよくあります」
― 裏を返すと、女性を呼ぶ時はとにかく水周りをきれいにしたほうがいいということですな…!
「間違いなくそうですね!そして、アウトフレームというのは、梁が室内にない部屋です。要するに、限りなく壁にでこぼこの無い部屋ということ。梁があるとデッドスペースが生まれやすく、本当にたったひとつの梁でソファーがおけない…なんてこともあります」
― 気をつけよう。ちなみに不動産屋の人が住む家に共通点とかあったりしますか?
「うーん。これも個人の好き嫌いがあるのでなんとも言えないんですが、上記のポイントの他に振り分け間取りが人気ですね。振り分け間取りというのは、例えば1LDKなどで玄関入って左右に部屋がある間取りのことです。きっちり廊下などで部屋が別れているという。東京ともなると、スペースがあまりないので縦に2部屋って間取りが多いんですが、これは意外と使いにくかったりするので」
― 振り分け間取りか…!!築年数はどうですか?
「築年数に関しては、よく『これくらいの年代のマンションが頑丈だ』などといいますが、正直賃貸であればそれはあまり関係ないですね。トイレなどが新しいのは、やはり5年以内って感じでしょうか。なので、5年以内でなれば『築浅』と言っても大丈夫です」
― なるほど。ちなみに、不動産屋的に、東京で住むのにオススメの街とかありますか?
「何を求めるかによってもだいぶ違いますが、都心に最も出やすくて比較的家賃も低く、住みやすいというのであれば、大塚ですかね。池袋は隣だし、新宿・渋谷も行きやすいです!」
― これはいい情報や!
家賃×5が目安。家賃10万円の部屋に入るには総額いくらかかるの?
― と、ここまでいい感じに探してきて、皆さん引っかかるのは初期費用のことだと思うのですが。初期費用ってどれくらい見積もっておけばいいんですかね?
「簡単に言うと、家賃×5が初期費用にかかるお金ですね。敷礼礼金等も含めて5倍あれば一応安心レベルという感じです」
― いわゆる、敷金・礼金がないというところもあると思うのですが、そういう物件は人気がないとかあるんですか?
「それは特にないですね。オーナーがなんらかの事情で、『どうしても早く入れたい』みたいな時に敷礼を取らない場合もあることはあります。ただ、敷礼がない、とかでも備考欄に色々書いてあることもあるのでそこをしっかり見ておくべきです」
― なるほど!ちなみに、敷金はある程度返ってくるものという考えていいんでしょうかね?
「部屋のクリーニング代が引かれて返ってくるものと考えて大丈夫です。ただ、タバコ室内で吸っていたり、禁止なのにも関わらず無断でペットを飼うみたいなことをしたりすると、もう駄目です。逆に敷金以上に払うことになる場合もありますね」
― 故意のものは敷金から引かれてしまうと。
「これって割と線引が難しいのですが、例えば『家具運んでいてミスってついてしまった傷』は故意にあたります。ただ、『冷蔵庫を置いていてついた電気焼け』みたいなものは問題ないです。故意ではなくしょうがないものですからね」
― なるほど。なんにせよきれいに使おう。。
審査に通る「安心基準」は家賃の年額×3.5の年収
― あと個人的に疑問なのは、「管理会社の審査に落ちる」ということなんですが。自分の手持ち的にも大丈夫なのに、審査通らないってのはなんでですか?
「うーん、これも理由が有りすぎて難しいんですが、まずは年収です。年間の家賃の合計の3.5倍以上あればまず数字上は安心レベルです。例えば、家賃10万円の場合、年間120万なので、必要年収は大体420万円ということになりますね。もちろん、それ以下でもいける場合もあります」
― なるほど。
「他には、過去のカード支払いとか、借金の有無とか見られてますね。また、勤め先も大事なポイントです。本人が良くても、『勤め先NG』ということもある可能性もありますから…」
― それはきついな…。
「私は管理会社ではないので本当のところはわかりませんが、会社によってはSNSも見てるところもあるとの噂もあります。まぁこれはわからないですけどね…!
なお、変わった審査でいうと、『同時審査』という場合もあります。これは一定期間内で申し込んだ人たちの情報を物件のオーナーが見て決めるというものですね。見る内容は変わらず、勤め先、年収等々を見ます」
囮物件、事故物件の“ホントのトコロ”
― ここからは、ちょっと噂の真相を聞きたいのですが、まず囮物件というのはあるんですか?
「まず前提として、不動産屋というのはあくまで仲介なんですね。なので前提としてどんな不動産屋でも全ての物件を紹介できます」
― 各地域ごとに別れているんじゃないんですか?!街でよく〇〇に特化した不動産屋!みたいなのを見かけるんですが。
「実は、物件にはデータベースがあり、全ての不動産屋がそれにアクセスできます。不動産のルールとして、物件が空いたらそのデータベースに載せないといけない。なので、特化型というのはあくまで近辺の賃貸情報が多く載っているだけなんです」
― そうなんだ…!!
「これを前提として、囮物件というのはないこともないのですが、真相としては、『他に取られてしまったけど掲載を取り下げていない物件』ということです。これを囮物件というのか、単に掲載落としを忘れていただけかというのは、判断が難しいんですよね。ただ、ユーザーさん的には囮物件だと思ってしまうのだろうと思います。本当に、数時間で他に取られてしまうみたいなこともあるので」
― なるほど。つまり、物件は完全に早いもの勝ちの世界なんですね。
「間違いなくそうです。一部例外はあれど、いかに早く申し込めるか。それが、キーポイントですね」
あのサイトはバッチリあたっているーー事故物件の真相
― 事故物件は間に一人挟むとその次の人に告知義務はないみたいなことを聞いたのですが、それは本当なんですか?
「はい。それは事実です。ただ、今どき義務はなくとも告知はします。少なくとも僕はそうですし、聞けば絶対に答えてくれます。物件の数なんてたくさんあるので、わざわざそこに決めてもらわなくても不動産屋的には問題ないんですよ」
― とはいえ値段など下がっているんですよね?
「それはそうですね。敷礼がなかったり、家賃が明らかに他の部屋より安い場合が多いです。ただ、事故物件とはどこに当たるか問題があるのも事実です」
― というのは?
「例えば、廊下やバルコニーなどの共有スペースで自殺などをした場合、その人の部屋は事故物件にはなりません。ここはとても難しい問題で、告知義務があるかないかは本当に不動産屋次第って感じになります。ただ、聞けば必ず教えてくれるので大丈夫です」
― ちなみに、内見行く前などの「事前に知る」にはどうしたらいいんですかね?笑
「事故物件が載っている某サイトがありますよね?笑 あれはバッチリ当たっているのでそこを見てもらえれば大体載ってます」
― 大島てるですか…!マジで正確なんですね。絶対チェックしよう…!!
いい物件を見つけるために、ユーザーにやってほしいこと
― 最後に、いい物件を見つけるコツを教えてほしいです。
「これは不動産屋としての要望なのですが、まず希望の物件の間取りやこだわりまで、しっかり伝えて欲しいです。前述の通り、こちらは全ての不動産データベースにアクセスできるので、希望をきちんと伝えてくれればそこから見つけることができます。時々、希望の物件にお連れしても『何がダメなのか』をはっきり言ってくれない方もいて。それが失礼だと思っている方もいるようなのですが、はっきり言っていただけたほうがお互いWIN-WINです!」
― これからはっきり言うことにしよう!
「そして最も良い探し方は、バイネームで住みたい物件を見つけておくことです。引っ越しを考え始めた段階から、住みたい街などを歩いてマンション名をメモっておく。それを事前に不動産屋に伝えておくことで、空いたら即ご案内ができます。これは、引っ越し上級者の方に多い探し方で、実際確度も高いやり方です」
― 知らなかったー!
「その中で、先行申込みという技もあります。これは、申込内容(住む人の情報)と物件の条件を先にもらえれば、先に申込みして、内覧後判断できるんです。もちろん、申込金、キャンセル金は不要です。なぜ先行かっていうと、前述の僕らしかアクセスできないデータベースには『一般の人が見る不動産サイト』よりも早く情報が出るからなんです。一部できない物件はあれど、これはオススメです!」
― なるほど…!とにかく、不動産サイトを眺めているだけではなく、やはり足で稼ぐことも大事なんですな…!勉強になりました!