前編ではソフト・オン・デマンド(以下、SOD)代表取締役社長、野本ダイトリ氏が社長に就任した経緯と監督時代のこだわりをお聞きしました。
今回は、過去と現在のAV業界の違いからAVの企画について、そしてSODが目指すことについてお聞きします!
過去と現在のAV業界の違いは「女優さんのかわいさ」
− 野本さんは業界に入って13年目ということですが、今と昔のAV業界で変化したことってありますか?
「僕が言うのもなんですが、一番は女優さんがかわいくなったということです。『なんで出るの!?』と思う娘から応募がきたりしますからね」
− やはり、AVに出る娘って「お金のため」という感じなんですか?
「一昔まえはそのような娘もいましたが、今は全然ないですね。女の子のモチベーションだと、『有名になりたい』だとか、『あのカッコイイ男優とエッチしたい』とかそういうことが多いので、女の子の目的が凄い変わったなと思います」
− 確かに、恵比寿マスカッツなどを見ていると、みんなかわいいしキレイですよね
「それで言うと、アイドルとAV女優の垣根がほぼなくなったということが、女の子のレベルが上がった要因なのかもしれませんね。また、うちでも人妻レーベルを立ち上げたんですが旦那さんには言わないで来ている人たちが多いです」
− え!!!人妻って、本物の人妻さんだったんですか!!
「そうですよ!中には『子供預けてからいくので10時になっちゃいますー』とか、帰りは『お迎えがあるので17時にはでなくちゃいけない』という方もいて、スタッフ大慌てで撮影したり。さらには、『旦那には友達と飲み会ってことになってるから、缶ビール2本用意しといて下さい』と言われ、撮影後にイッキ飲みして帰る方もいます」
− そんな裏側があったとは…その点で言うと、SODの女優さんは凄いレベルが高いと思うのですが、良い女優さんを集められる秘訣みたいなものってあるんですか?
「そうですね。基本、事務所との兼ね合いもありますが女優さんに選択権があるので、SODを選んでもらわなきゃいけません。その中で、うちは女優さんと家族みたいに過ごしているんです。要はSODを好きになってもらうことを大事にしていますね。とにかく女優さんを一番に考えて、その娘がやりたいことがAV以外でも応援する。AVを卒業したあともバックアップしていくということを大事にしています」
マジックミラー号バスにドローンを使用したAVまで。ユニークな企画はどう生まれる?
− SODはマジックミラー号などの斬新な企画も強みのひとつだと思うのですが、それはどうやって生まれるんですか?
「基本的には監督陣が常に企画会議をやって、僕らにプレゼンして月の企画が決まる感じですね。ただ、僕が社長になって意識しているのは、若い監督陣に、『全然売れない作品でも作れる環境を与える』ことです。5.6年前は全然若い監督の企画が通らなかったのですが、今は社風を変えて1年目からでもガンガン撮らせることを意識していますね。赤字覚悟で、失敗や成功を経験して、糧にしてもらうことを大事にしています」
− それは野本さんの監督時代の経験が生かされているんですね
「そうです。僕も監督というものを『作品』を通して学んできたので。若い監督にチャレンジできる環境を与えることが、面白いAVを作るために必要なことなんです」
− 面白いAVといえば野本さんの紹介ページに「思いつくことはなんでもやる!」と書かれている中で、マジックミラー号バスというのを発見したんですがこれは凄い企画ですね!
「マジックミラー号バスの計画はあるんですが、今オリンピックや中国からの観光客の増加もあって、バスが買えないんですよ…納車まで2年待ちなんです。ただ、今のマジックミラー号もそろそろ老朽化が激しくてですね…」
− マジックミラー号って1台しかないんですか!?
「そうなんですよ。もう15年目なのでそろそろ変えなきゃなと思っているんですが。マジックミラー号の車体は三菱キャンターなのですが後ろの部分がフルカスタムなので4,000万円くらいするんです」
− ということは、マジックミラー号バスは…
「バスは車体だけで7、8,000万円するんで、億超えは覚悟はしていますね。それと並んでドローンを使ったAVも構想中なんですが、なかなかドローン操縦できる人の応募が来ないんですよ」
− なかなかいないですよね。ドローン操縦できる人って
「ドローンで撮れるエロはまた違うと思うんで早く来て欲しいんですけどね。例えば、ドローンでマンションの一室を盗撮するAVとか、ドローンでエッチなアイテムを女性に届けてどう使うのか観察する企画とか…アイデアは沢山あるんですけど。なので、操縦できる方募集中です!」
SODが目指す、制作ファーストの会社
− 社長に就任して数ヶ月経ちましたが、野本さんはSODをどのようにしていこうと考えているのでしょうか?「会社としては、どれだけユーザーさんを喜ばせることができる監督を育てられるかを第一に考えています。良い監督とクリエイターが揃った分だけ、会社が大きくなるので。一番手間暇かかるんですけど、そこだけは譲れないですね」
− マーケティングとかにはお金をかけたりはしないんですか?
「勿論、そこも大事なんですけど、やっぱり監督が撮りたいもの、ユーザーさんが見たいものを作っていくことが一番大事です」
− 監督やクリエイターには最高の環境ですね!
「僕はそれを目指しているんで。なので、うちの監督って放っておくと会社にずっといて台本とか企画考えているんですよ。だから今年から監督の成績に応じて旅行費あげたりだとか、儲かったお金は全部あげる『インセンティブ作品』をやったりだとか、様々な制度を作っています」
− そのような制度は野本さんが就任してからできたものなんですか?
「そうですね。僕が監督時代に『あったらいいな』と思っていた制度を福利厚生という形で作っているんです。新卒1〜2年目までは同期の離職率が20%未満だったら、海外旅行をプレゼントする制度も作りました。やっぱり最後励まし合うのは同期なので。とにかく、若い監督の芽を潰さないようにってことだけは重要視しています」
− 新卒採用は基本制作で採っているんですか?
「基本制作志望でいれています。というのも、ものづくりはうちの基本なので、営業するにしろ、経理やるにしろ、制作がわかっていないのダメなんです。一回制作をやってから、『あなたは営業向きだね』とか、そういうふうに割り振っていく感じですね。とにかく、制作者ファースト。これが新生SODの目指すところです」
− 制作者に寄り添う本当にいい会社ですね…!本日はありがとうございました!
監督を経験したからこそ、できることがある
野本ダイトリ氏は自身が監督の経験したからこそ、ものづくりの原点に立ち返り新しいSODを作ろうとしています。
売上至上主義の「つまらない会社」から、制作者ファースト、ユーザーファーストの「面白い会社」へ。
世の男性を虜にするSODは、今後ももっと面白い作品を出し続けてくれそうです。そして私は待ち続けたいと思います…マジックミラー号バスが街を走る日を…!
前編はこちら:【AV監督から代表取締役社長へ】ソフトオンデマンド新社長、野本ダイトリという男