2014年、第2次安倍政権によって掲げられた“地方創生”。
行政はもちろん、“地域活性化”などに取り組む民間企業も増え、“地方移住”という言葉を耳にすることも多くなりました。
こうした流れを受けて、「自分も地方に移住してみようかな…」と考えている方や「東京に一生住むのはどうなんだろう…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし実際のところ、都会暮らしと地方暮らし、どちらの方が快適なのでしょう。
今回は、20〜30代の都会暮らしの男性50人・地方暮らしの男性50人に、それぞれのメリット・デメリットをお聞きしました。
どうして都会に住んでいるの?都会に住む、メリット・デメリットは?
まずは、都会暮らしの方々に、何故都会に住んでいるのかを聞いてみました。
半分以上の方々が元々都会で生まれた訳ではなく、仕事のために住むことになったと答えています。
元々地方出身の方が多い都会民。都会に住むことについてどう思っているのでしょうか。
人との出会いが多く、利便性が高い!「都会暮らしのメリット」
●車がいらない、電車・バスの本数が多い、遊ぶ場所に困らない、生活に必要なものの大半が徒歩圏内で手に入る、美味しいお店が多い。/東京都在住・34歳会社員
●買い物に行くにもお店が近くにあるので、基本的に歩いて行ける。地方にはないバーなども多くあって、自分好みの店探しが出来る。公共交通機関が充実している。都会に住んでいるというステータスになる。/札幌市在住・29歳会社員
●車がいらない。総合病院などが近くにあるので、何かあったときにも安心。/神戸市在住・39歳自営業
など、交通機関やお店が充実しており利便性が高いという意見や
●生涯関わり続けたい友人とも会いやすく、娯楽も多く楽しい。夢中になれるコミュニティや趣味とも出会いやすい。挑戦したい仕事や、尊敬できる人を見つけやすい環境だと感じる。/神奈川県在住・32歳会社員
●エンタメ系のイベントは都会で開催されることが多く、参加しやすい。/東京都在住・37歳フリーランス
●仕事がたくさんある。給与水準が高い。得られる情報が多い。/さいたま市在住・25歳会社員
●最新のショップや話題のご飯屋さんがすぐできるので、最先端を体験することができる。/東京都在住・30歳会社員
出会える人や情報、仕事の選択肢が多く、給与水準も高いという意見が多く見られました。
また、
●ご近所さんとの過度な付き合いがなくて済む。夜間でも街灯が明るく、夜道を歩く際に怖くない。/名古屋市在住・25歳会社員
という声もあり、“人間関係が希薄”“冷たい人が多い”と表現されることが多い都会の人付き合いも、逆に楽で良いという人がいるようです。
仕事や娯楽が多く、交通機関が充実しており、給与水準も高い都会。
良いことばかりなように聞こえますが、デメリットはあるのでしょうか。
家賃が高く、人が多い!「都会暮らしのデメリット」
●野菜などの物価が高い。新鮮な料理が少なく、美味しくない。/東京都在住・35歳会社員
●家賃が高いので貯金が出来ない。飲み屋やご飯屋も値段が高い。/東京都在住・30歳会社員
●地方と比較にならないくらい家賃が高い。毎日必要な食品は、スーパーを利用してもやはり高めで、生活にはランニングコストがかかる。/名古屋市在住・38歳会社員
もっとも多かったのは、家賃を含め、飲食店やスーパーなど、全体的に物価が高いという意見。
給料が高くても支出も多いため、貯金ができないという人も少なくないようです。
●夜になっても、周囲が明るい・うるさい。駐車スペースが無いため、地方からの友人や家族が訪れにくい。交通量が多いので、子供を外で遊ばせることに不安感がある。/札幌市在住・29歳会社員
●人間関係が希薄、冷たい人が多い。人が多く、通勤ラッシュで疲れてしまう。マナーを守らない人が多い。交通量が多く、排気ガスによる空気が悪い。道幅が狭く、ボール遊び等がしにくい。/神奈川県在住・35歳フリーランス
●人口が多いため、犯罪が多い。自然が少ない。/名古屋市在住・39歳自営業
また、夜でも街が明るいというのはメリットとしても取り上げられていましたが、規則正しい生活をしようとする人にとっては、うるさいというデメリットに。
さらに、人が多く、犯罪や交通量が多いというのは、子育てがしにくいということにも繋がるようです。
どうして地方に住んでいるの?地方に住む、メリット・デメリットは?
次に、地方に住んでいる人の意見も聞いてみましょう。
まずは、何故地方に住んでいるのか、理由を聞いてみました。
生まれた時から住んでいる人が大半かと思いきや、IターンやUターンで都会から地方に移り住んだ人もチラホラいるようです。
では、生まれてからずっと地方に住んでいる人、都会から移住した人たちは、田舎暮らしについてどう思っているのでしょうか。
家賃が安く、穏やかな生活ができる。「田舎暮らしのメリット」
●人が少なく、水や空気が美味しい。/静岡県在住・38歳フリーランス(Iターン)
●車移動が基本だが、道が空いているのでドライブが楽しい。高齢の人とコミュニケーションをとる機会が多いので、性格が穏やかで優しくなる。優しい人が多い気がする。/滋賀県在住・39歳無職
●人が少ないので、どこに行ってもストレスが無い。犯罪が少ない。車で自由に移動が出来る。/秋田県在住・35歳農家
まず挙げられたのが、人が少なく、穏やかな生活ができるという意見。
人が多いと満員電車や渋滞などにイライラしてしまいますが、そんなことは一切ないようです。また、人が少ないので、同世代でない人ともコミュニケーションを取る機会が多く、1人1人との交流を大切にできそうです。
●家賃が安く、生活しやすい。介護のためUターンしたが、家族(親)との時間を取れるようになった。/兵庫県在住・31歳無職(Uターン)
●家賃が安い。都会で20万円するアパートがこちらでは8万円で借りることができる。人が少ないので混雑しない。/27歳・会社員
●生活コストが安い。環境が良いので健康的に暮らせる。土地が安いので若いうちから家を買える。/福井県在住・34歳自営業
そして何より、家賃や生活コストが安いというメリットが。
低コストで広々とした家に住み、美味しく新鮮な食材を手に入れることができるのは、田舎ならではの大きな魅力だと言えるでしょう。
また、お店が少ないことを逆にメリットと捉える意見も見られました。
●誘惑が少ない。都会だと朝までお酒を飲んでいても、朝からまたお酒を飲めるお店がたくさんあるので、1日が終わらない。田舎だと、朝からお酒を飲めるお店はそう多くはないので、知っているお店の中に行きたいお店がなければ、朝から新しくお店を開拓しようという気がおきず、帰るか…となる。1日がきちんと24時間くらいで終わるので、生活リズムが整えられ、仕事がはかどる。/都会と田舎の2拠点生活・39歳経営者
●東京にいた時と比べて、24時間営業のお店が少ないので、自然と出費を抑えられる。/大阪府在住・36歳デザイナー(Uターン)
確かに、都会はお店が多く、営業時間も長いので、いつでもお金を使うことができてしまいます。
その点、地方ではお店が無かったり、早く閉まったりするので、自然と出費を抑えて健康的な生活を送ることができます。
●土地が広く、庭でスポーツしたりバーベキューしたりと沢山遊べる。車の通りもすくないので渋滞でイライラする事も無い。夜は静かで落ち着く。/福岡県在住・36歳自営業
●海と山が近く、アウトドアに最適。/静岡県在住・37歳アルバイト
さらに、アウトドアが好きな人たちにとっては、地方は格好の遊び場。
わざわざ遠出しなくても、庭や近所で本格的なアウトドアを楽しめるようです。
出費が少なく、穏やかに健康的な生活を送ることができる地方暮らし。
デメリットについても意見を聞いてみましょう。
車の維持費で、結局お金がかかる。出会いがない。「田舎暮らしのデメリット」
●何をするにも車が必要で、車のローンやガソリン代などお金がかかる。住んでいる地域は住民税も高い。活気がない。/京都府在住・31歳看護師
●車での移動が主になるため、飲み会等に出かけるのが億劫になる。徒歩圏内に飲食店等が少ない。夜道が暗い。/福岡県在住・36歳自営業
家賃は安いものの、移動に車が必須になるため、結局お金がかかるという意見が。
また、車移動だと気軽に飲み会に行くことが難しく、友人と気軽に会えないというのも若い人にとってはデメリットなようです。
●夢を持った人が都会の方達と比べて少ないような気がする。自分への向上心や競争心も以前よりなくなったと思う。/大阪府在住・36歳デザイナー(Uターン)
●給料が安い。排他的な人が多く、新しいことや画期的なことをやろうとしても変わろうとしている人が少ないので変化がない。運転マナーが悪い。/石川県在住・27歳会社員
●田舎特有の固定観念によって地区により独自のルールを強制される。/福島県在住・27歳フリーライター
そして、都会に住んでいた人にとって大きなデメリットとなるのが、新しいことにチャレンジしようとする人が少ないという環境です。
やはり、夢を持った人たちは夢を叶えるために都会に出ることが多く、野望を持った人や刺激を与えてくれる人に出会おうとすると、田舎ではなかなか難しいよう。
また、地域によっては排他的な人間関係や、新しい意見を聞き入れない空気などもあるようで、合わない人も多そうです。
●大型イベントなどが少ない。物価はあまり都市と変わらず、店同士の競争がないためむしろ高い。若い人が少ないため、恋人や結婚相手を探すのが難しい。/秋田県在住・35歳農家
●若者が少なく、出会いがない。都市に行けば体験できるイベントが基本的に全くない。自動車の維持を考えると生活コストそのものは決して安くない。/岩手県在住・35歳自営業
●出会いが少ない。街を歩いても老人ばかり。電車が走っていない場所が多いので、居酒屋に集まりづらい。/埼玉県在住・29歳会社員
さらに、若者同士の出会いやイベントなども少なく、都会のように娯楽や出会いに溢れた毎日を過ごすことは困難です。
話題のお店なども基本的には都市部から店舗を構え始めるので、日常的に最先端のお店や技術に触れるということも難しいかもしれません。
人生で大切にしたいものは仕事?趣味?優先順位を決めて、住む土地を決めよう
都会暮らしも田舎暮らしも、それぞれメリット・デメリットがありました。
残念ながら、それぞれのメリットだけを集めた地域はありません。
「夢を持った若者がたくさんいる土地で刺激を受けたいけど、自然の溢れる場所で広い家に住みたい。」など、都会と田舎どちらに住めば良いのか分からないという方は、自分の人生で一番大切にしたいものは何なのかを決め、それを叶えられる場所に住んでみてはいかがでしょうか。